学生のレポート(B)
「ひよこ豆味噌」との出合いが、意外な組み合わせを学ばせてくれた
味噌と聞くと、一般の人はスーパーなどで見かける味噌メーカーが製造したものを思い浮かべるのだろう。赤味噌に、白味噌、合わせ味噌…と、個人的調べによると全国で〇〇味噌と呼ばれるものは、20種ほどあるらしい。その中でも私が今回使ったものは、ひよこ豆味噌。芦屋にある六甲味噌製造所が造ったもので、商品名もズバリ「芦屋蔵造ひよこ豆味噌」という。大豆の代わりにひよこ豆を使って仕込んだ優しい甘みを持つ粒味噌である。同社のHPによると、ひよこ豆は、栗に似ていてホクホクした味わい。大豆アレルギーにも適応しており、近年注目されている豆で、これを使うと、大豆を用いた一般的な味噌とは異なる、優しい味わいに仕上がるそう。また、ひよこ豆は、大豆と比べて脂質やタンパク質の含有量が少なく、食物繊維が多いのでヘルシーな要素を兼ねている。ちなみにひよこ豆は、海外で産することが多く、日本での栽培はごくわずか。主にカレーやスープ、サラダなどに使用されており、和食に用いるケースはあまり目にしたことがない。今回はこの珍しい味噌と出合うことで、和食に使ってみたいという思いが頭をもたげた。そしてひよこ豆の味噌は、クセが少なく、どんな料理にも合わせやすいのではないかと踏んでレシピ開発を行なってみたのだ。
話は変わるが、私の父は大の味噌好きである。本人も「毎食味噌汁さえあれば、他のおかずはいらない」と公言してはばからない。旅行先の旅館で出される味噌汁が好みの味だと、必ず土産に買って帰るくらいだ。父は、転勤族で、赴任先でその地方ごとの味噌を味わって来た。聞くところによると、九州や中国地方の甘みを持つ味噌が好物だとか。先日、帰省した折りに授業で使用したひよこ豆で味噌汁を作って父に味わってもらったら、甘みと豆のホクホク感が気に入り、とても好評であった。「今は辛みが特徴である信州味噌に触れる機会が多いために、久しぶりに甘みのある新しい味噌と出合い、感激した」と言っていた。
私にとって味噌=味噌汁なのだが、それ以外に和食に使えるレシピを考えたくなったのだ。中でも日本人の主食とされる米に着目し、お寿司に用いてみようという考えに至った。「女子大生が考える味噌ライフ」なる今回の課題に触れ、まっ先に思い浮かんだのは、”彩り”だった。さて彩りのあるお寿司とはいかなるものなのか?そこで最近よく見かけるオープンいなりを思い出した。オープンいなりとは、本来のいなり寿司とは異なり、揚げで包み込まず、中が見えるように設計したもの。このスタイルだと、アレンジ次第で華やかさも表現でき、見映えもすると思った。そこで私たちのグループでは、「ひよこ豆味噌の彩りいなり」と名づけ、三種類のオープンいなりを創作した。
まず一つめは「そぼろ&たまご味噌いなり」である。これは、そぼろに「ひよこ豆味噌」を加えて甘みのある肉味噌を作り、半分に玉子をトッピングして二色に仕上げている。二つめは、「洋風味噌いなり」。マヨネーズで和えたプチトマトとアボカドに「ひよこ豆味噌」を合わせ、味噌マヨに。赤と緑の色合いに、上から生ハムを載せて華やかさを表現した。三つめは「鮭の味噌焼きフレークいなり」で、これには炒めた鮭フレークに「ひよこ豆味噌」を合わせ、鮭の香ばしさと優しい味で相性抜群な一品に作り上げた。これら三種は、彩り豊かで見ためにも楽しく、それぞれ異なった趣を持っているのが、このオープンいなりの醍醐味かもしれない。「洋風味噌いなり」は、意外な組み合わせであったが、個人的には好みの味で、その相性の良さには驚かされた。和を楽しむのは勿論、いなり寿司といえど、洋風の趣きもよく、中にはフルーツをトッピングしても面白いと思っている。皆さんもアレンジ次第で幅広く楽しめ、かつ誰にでも作ることができるので、好きな食材を買って来て試してみてほしい。
このレシピ開発をきっかけに、私はスーパーの棚で「ひよこ豆味噌」を探すようになった。授業では、味噌の意外な組み合わせ方を学ぶことができたために、今後「ひよこ豆味噌」を始め、様々な味噌を用いたアレンジ料理に挑戦して行きたいと思う。
(文/大阪樟蔭女子大学学芸学部ライフプランニング学科・林真優)