学生のレポート(A)
耕作放棄地から大豆を育て、味噌を造るのだ!
味噌と聞いて私が思い出すのは、小学校3年生時に味噌づくりを行ったこと。その時は、大豆の収穫や、大がかりな調理は先生や地域のJAの方がやってくれたのだが、私達小学生もいくばくかの味噌づくりを自分達で行った。私達がやったのは、味噌を寝かせる時に一旦3〜4人で足で踏むという作業。なぜ足で踏むのか気になってインターネットで検索してみたが、答えは出て来ず、個人的には地域独特のやり方かもしれないと納得せざるをえなくなっている。この時は、小学生でほとんどの作業はできなかったが、味噌を造ったという達成感はあり、家庭で使ってみると、いつもより美味しく感じたのを覚えている。
ところで大学生になった私は、ゼミで味噌づくりを行っている最中だ。しかも大豆から造るという基礎の基礎から行っている。ゼミでは、奈良県西菜畑にある耕作放棄地を活用して大豆を育てているのだ。初めて畑に入った時にびっくりした。それは地面が見えないほど草が生え散らかっていたからだ。「大豆から育てて味噌を造る」とゼミの先生から聞いた時、畑作業もした事がなかった私は、正直面倒くさいと思ってしまった。しかも畑は荒れ放題で「こんな所で野菜が育つのだろうか?」と考えていた。
実際に草を刈って行くと、地面が掘れて、そこには水やりのホースが通っており、かつては農家の人が野菜づくりを行っていた場所だとわかった。それをみたら大切な農地なので自分達も作物を大事に育てようと身を引き締めた次第である。太陽に照らされながらの草刈りは、想像以上の肉体労働。インドア派で、普段はのんびり、まったりと過ごしている私にとっては結構疲れる作業だった。多分ここ数年で最も日に当たった年だと思う。草を刈った後は、畝づくりを行い、大豆を植えた。トラブルなく植えることができたのだが、後日見て「あら、びっくり!」。芽吹いた大豆が猪や野鳥に食べられてしまっているではないか!あんなにも大変な思いをして大豆を植えたにも関わらず、食べられたのは一瞬のこと。野生の恐ろしさを目のあたりにした。ただ、草刈りや畝づくりといった肉体労働や、鳥獣被害などを経験したことで、作物を育てる大変さを学んだ。私達がスーパーで求める野菜は、農家の人がこんなにも大変な思いをして作ってくれたものなのかと改めて実感し、モノのありがたさがわかったのである。大豆を栽培してみると、台風や大雨に遭遇する度に、作物は大丈夫だろうかと心配した。でも、無事に実ってくれている。2月からは、育てた大豆で、やっと味噌づくりが始まる。冷暗所で数ヵ月寝かさないといけないので、自分達が造った味噌を食べられるのは10月頃だと思う。できあがるのが今から楽しみである。
さて、ゼミとは別に「フードメディア演習」での課題は、「ひよこ豆味噌」を使って、オリジナルメニューを創作すること。私たちのグループは、「ひよこ豆味噌」で「味噌ラーメン」を作った。一般的な味噌ラーメンと違い、優しい甘みを持つ「ひよこ豆味噌」を使っているので、仕上がりは自ずと優しい味わいになる。授業中に作って撮影して、いざ試食!やっぱり自分達が考えたレシピなので旨いに決まっている。先生によると「それを自画自賛と言う」らしい。
(文/大阪樟蔭女子大学学芸学部ライフプランニング学科 榛木さくら)