「塗る」と「付ける」も紛らわしい言葉。「塗る」は、表面にこすりつけて薄く伸ばすことで、「付ける」は離れないようにつく様を示しているようだ。例えば、六甲味噌製造所の「田楽みそ」は、モノにつけて伸ばすので表現としては、「塗る」になるが、白味噌の「酢みそ」や「白味噌ディップ」の場合は、伸ばす行為がないから単純に「付ける」となるのが正しい使い方であろう。これに付随して「伸ばす」と「延ばす」も説明しておかねばなるまい。調理の場合、「伸ばす」は、ものを長くするの意で、「延ばす」は時間軸を指す。時間が延びることを延長というように長引くことを示すのだが、それとは別に調味料を用いて「のばす」時は「延」の字を使うようになっているのだ。これは引っ張って伸ばす行為や薄く平たくする行為ではないことによると筆者は理解している。
「なめる」も「舐める」と書くものと、「嘗める」と書くものの二つがあってわかりづらい。前者は舌の字が当てられているように舌先で撫でるように触れる。そして口内で溶かす行為。後者は、肝を嘗めるや、苦汁を嘗めるなど経験を意味している。要は口の中とは無関係の時に用いるようだ。でも金山寺味噌のように「なめ味噌」には「嘗める」の文字を使っているのだからやっかいであろう。そういえば六甲味噌製造所の”ごちそう味噌”も嘗め味噌の類である。