本来は月の末日に、さっと食べるためのものだったのに…
大晦日に、おせち料理を作り、大掃除をし、そばを食べる_、これが本来の12月31日の過ごし方である。昨今は、おせち料理は、百貨店や料理屋で注文するものとなっており、家庭で作るところが少なくなっている。元来、おせちとは、御節供(おせちく)や節会(せちえ)の略で、おせち料理は、歳神様へお供えをして年が明けてから食べるものとされていた。江戸時代に庶民に広まったもので、それまでは正月だけでなく、元旦の他、五節句などの節日に神様にお供えしてから食べていたそうだ。正月のみが際立ったのは、三が日ぐらいは竈(かまど)の神様に休んでもらおうとの意味があったからだ。お重にきれいに詰めるのは明治以降の流行。その昔は膳に盛ったものと、お重に詰めたものを用意し、前者をおせちと呼んでいたそうだ。ちなみに後者は食積(くいつみ)と呼んでいる。こうしてみると、おせち料理も時代とともに変化して来ていることが分かる。だから将来、おせち料理は大晦日に料理屋から届くものと定義づけられてもおかしくないかもしれない。