今年はとんでもない春になってしまった。例年のように桜の開花は、どこ吹く風で巷は新型コロナウイルス(COVID-19)騒動一辺倒。ついには緊急事態宣言まで発せられてしまった。こうなってしまうと、ひたすら自宅待機し、嵐が過ぎるのを待つしかないようだ。世間ではイベントと名の付くものは全て中止で、祇園祭の開催さえ危ぶまれている始末なのだ。
疫病の流行は、今に始まったことではない。永い歴史の中でその都度疫病対策が講じられて来た。何を隠そう、祇園祭もそこに縁りがある。祇園祭は、京都の八坂神社の祭礼だが、明治期までは祇園御霊会(ぎおんごりょうえ)と呼ばれていた。御霊会とは、思いがけず死んでしまった人(御霊)による祟りを防ぐための鎮魂の儀礼のこと。その昔、疫病や天変地異は、みんな御霊の仕業と考えられており、それを鎮める意味から御霊会が行われた。その始まりは、貞観5年(863年)5月20日に神泉苑で行われた御霊会とされている。平安京は、内地の湿地帯に造られたために疫病の温床だったといえなくもない。そこに人が集まり、上下水道が整ってなかったので疫病を何度も流行させたようだ。