雑煮~奈良の少女とフレンチの奇跡のコラボ~
~大阪樟蔭女子大学 学芸学部ライフプランニング学科 フードメディア研究の授業から~
白味噌-、皆さんは普段の食卓で目にするのがどれくらいあるのだろう。“味噌”と聞いてやはり一番先に挙げるのは、味噌汁であろう。味噌と言ってもなかなか一言で片づけられない。味噌の原料となる穀物は、全国的には米が多いものの、中部では豆、九州や四国の一部では麦が使われている。つまり味噌汁には、全国47都道府県の色が反映されるわけだ。
そんな中でも白味噌の存在を忘れてはならない。白味噌の原料は豆であり、米麹と塩を混ぜて発酵・熟成させることでできあがる。そんな白味噌が一躍脚光を浴びるのが“お雑煮”ではなかろうか。特に関西は、白味噌の雑煮を食べる習慣がある。室町時代に入り、味噌が調味料として普及し、公家の間では甘いものを良しとする風潮が芽生え、甘口の白味噌を用いて調味した。手前味噌なる言葉があるが、これは、かつては家庭で味噌を造るのが当たり前であったために「うちの味噌が一番旨い」とばかりに胸を張ることから生まれた。関西においては、これが白味噌だったのだろうか。特に京では白味噌が普及した。それが今や白味噌といえば、雑煮となるように他の調理での使い方がわからなくなってしまったようだ。中でも若い人達の世代ではその傾向は強い。