おみそコラムcolumn
放射性物質を除去する味噌の効用

みそ健康づくり委員会発行のみそサイエンス最前線という本の中に「放射性物質を除去するみその効用」というレポートがあります。このコラムはその資料を元に作成致しました。
 
日本は広島、長崎での原子爆弾による被ばくを経験した世界唯一の国です。広島大学原爆放射能医学研究所では長年、味噌の機能性として放射性物質を除去する作用があることを研究してきました。同研究所では広島での被ばくに悩む方の中から「みそによって後遺症が少なくて済んだ」というお話が寄せられ、さらにはチェルノブイリの原発事故の際、北欧では放射能障害を予防するために、多くの人がヨード剤の服用とともにみそを食べたり飲んだりしたという話が伝わってきたと書かれています。そのため味噌のもつ生理作用についてはヨーロッパでも高い注目を集めています。ドイツのハイデルベルク大学付属児童病院の博士たちの報告によると「豆腐、味噌を毎日食べる日本人の尿から、がん予防に役立つ化学物質・ゲースティンが欧米人に比べ30倍も多く発見された」とありました。
 
マウスによる実験でも、味噌や醤油に含まれているある物質が明らかに放射線の防御作用を行っているとの結果がでています。この場合の防御作用とはあくまでも放射線によって受けるダメージを回復させる作用があるという意味です。人体に悪い影響を与える放射性物質にはヨウ素やセシウムが挙げられますが、別の実験では味噌を食べさせていたマウスは他のマウスに比べヨウ素が排泄物から多くみられたり、セシウムの体内残留量が減少したいとの結果が出ています。ヨウ素とセシウムは放射性物質の代表的な2つですが、全ての放射性物質について味噌の排泄作用が働くかというと、プルトニウムやストロンチウム等はすぐに骨髄に入ってしまうため期待できないと思われます。
 
上記のような味噌の生理効果は味噌のどの成分がどのように作用するのか現時点では、はっきりと判明していません。ただ実験結果からうかがい知ることは、味噌の成分による体の代謝活性の向上により、腸粘膜の再生機能や放射性物質の排泄機能促進が推察できます。また味噌の成分の中に血液中の放射性物質等と結合する物質があり、それが放射性物質を排泄するのだろうと考えられます。
 
こうした味噌の生理作用は主として味噌の成分の中の大豆成分にあると言われていますが、
それ以外に味噌が発酵食品であることも大きく関係していると思われます。発酵の際に造られる酵素は強い解毒作用を持つためこれらも放射性物質除去作用の要因と思われます。
 
(注)
同研究所のレポートは確かに興味深いものではあるが
レポートの内容や動物実験の結果等をみて
即「味噌の効果」と結び付けるのには少し問題があるとのことです。
またレポートの中のマウスによる放射性ヨウ素とセシウムの動物実験は、
あくまでも数ある放射性物質の中の2種類に関する実験ですので、
皆様方には「味噌を食べたら放射性物質を除去できる」と
拡大解釈されませんようにお願いしておきます。