味噌を使った食べ物といえば、何を思い浮かべるのだろうか。やはり定番は味噌汁で、これは日本人の食生活には欠かせない一品だ。その他というと、鯖の味噌煮か、味噌田楽か、はたまた札幌生まれの味噌ラーメンというのもある。とにかく枚挙にいとまがなく、次から次へと味噌を使った料理が出て来るのだ。それくらい味噌は、調理に欠かせないアイデアで、調味料として長く使われ続けている。では、次に味噌を用いたスイーツと問われれば何が思い浮かぶのか?「エッ、味噌を使ったスイーツなんてあったっけ?」_、そう思うあなたは、まだまだ味噌の事を熟知していないのかも…。ということで、私達の「味噌×スイーツ」を披露しよう。
今回、私達「フードメディア演習」の受講生は、新たな発見を求めて味噌を使った新レシピ開発に挑戦した。使用するのは、「芦屋そだち赤だし味噌」だ。「六甲味噌製造所」のHPを見ると、兵庫県産米と兵庫県産大豆で仕込み、天然醸造した「芦屋そだち米赤味噌」と国産大豆を使った豆味噌を独自にブレンドしたものとあり、きめ細やかで滑らかなペースト状の仕上げで魚介のみそ汁に用いると、赤だし味噌特有の香りを生むとある。これはタイトル通り、赤だしに用いるといい味噌なので、一般の赤味噌とは違いがあるようだ。ここが作る上でのポイントになりそうだと思われた。
赤だし用という点に注目しつつ、私たちのグループは、ブレストで様々な意見を出し合った。ある時、「ケーキとか、甘いお菓子が食べたいなぁ」との話が出た。そんな些細な会話から「赤味噌アフタヌーンティ」は出来上がった。見出しにもあるようにチョコレートと生クリームに「赤だし味噌」を入れた、いわば“味噌×スイーツ”だ。
まず、「赤味噌ショコラジャム」だが、スコーンにつけて食べるディップ用として考えてみた。皆さんは「味噌とチョコレートって合うの?」と思うかもしれないが、実は相性抜群なのだ。そもそもチョコレートは、味噌と同じく発酵食品の一つである。原料となるカカオ豆を発酵させて造っている。カカオ豆には食物繊維も含まれているほか、腸内環境を整えるカカオプロテインが含まれており、便秘予防になるとも聞いた。そして長い熟成期間を経る赤味噌にはビタミンやミネラルの他、糖尿病予防、老化防止、善玉菌を増やすなどの効果を持つメラノイジンが含まれているそう。「赤だし味噌」自体がそれほど甘味の強いものではないために、少し苦めのチョコレートとケンカすることはなく、使用すると濃厚な味わいにしてくれるようだ。「赤だし味噌」を使っているからだろう、最後になんとなくだしの香りがして来る。味も各々の組み合わせも悪くはない。ならば新しいチョコレートディップの完成である。今回はスコーンで試したが、クラッカーなど色んなものに合わせて食べてみたいところだ。
次に「赤味噌と金柑のヴィクトリアサンドイッチケーキ」だが、元来、ヴィクトリアサンドイッチケーキとは、イギリスで親しまれているシンプルなケーキで、イギリスのハノーヴァー朝第6女王・ヴィクトリアのお気に入りといわれていた。通常は、生クリームとラズベリージャムをサンドするのだが、今回は爽やかに仕上げるためにジャムには金柑を使用。そして生クリームには「赤だし味噌」を入れている。これにはきっと女王様もびっくりする(⁉︎)だろう。
はっきり言ってどこに味噌を入れたのか説明しないと、わかりにくい仕上がりになっていた。生クリーム150mlに対し、「赤だし味噌」を小さじ1しか使っていないのだから当然だ。課題が「赤だし味噌」の使い方だけに、それでは少なすぎるかと、試しに大さじ1にして作ってみた。すると、これが食べられた代物ではない!生クリームにこれだけ(大さじ1)の味噌を入れると、なぜか酸味が強くなり、すっぱさを感じたのだ。なおかつおだしの味が邪魔をした。甘さが全くない生クリームだったために改善を願ってきび砂糖を入れてみた。すると、さっきよりマイルドな味わいに変貌するではないか。そして金柑ジャムとケーキをサンドしたら、強く感じられた酸味は程よく中和され、さっぱりとした出来となった。
それにしても今回の生クリーム+味噌は、なかなかの挑戦であった。まさかすっぱく感じるとは意外である。これもまた新たな「味噌×スイーツ」の誕生に必要な経験だったのだろう。失敗は成功の道標でもある…、興味ある人は挑戦されたし。
(文/大阪樟蔭女子大学学芸学部ライフプランニング学科 南琴音)